ウェディングの思い出
2012,09,15 | ウェディングについて
こんにちは。ブライダル・法人営業部の村田です。
先日、アルテリーベ横浜本店に、私が今から5年ほど前に勤めていたブライダル会社で一緒に仕事をしていたSさんがお食事にいらして下さいました。彼女と久しぶりに再会をし、当時の色々な思い出がよみがえってきました。
その中の1つに、2人にとって忘れられないエピソードがありましたのでご紹介させていただきます。
私がプランナーとして担当したある結婚式のお客様で、新婦様がある発作性の病気をお持ちの方がいらっしゃいました。彼女の体調と相談しながらの、変則的な打合せが続いていました。体調のすぐれない彼女を包み込むようにいつも優しく見守る新郎様。とても微笑ましいカップルでした。
そして、本番当日を迎えました。当時アシスタントの1人だったSさん達と大桟橋での挙式準備をし、青空の下でいよいよ結婚式がスタートしました。挙式は滞りなく済み、お二人を披露宴会場に移動させている途中のことでした。突如として発作が始まってしまい、その場で新婦様が倒れこんでしまいました。
私たちスタッフはお二人をすぐに控室に運び、新婦様が落ち着くまでお休みいただきました。
しかし、披露宴の進行をこれ以上遅らせる訳にはいきませんでしたので、新郎新婦不在のまま、披露宴を始める事にしました。ゲストやご親族の方々も、新婦様の事情は承知していましたので、それほど騒ぎになることもなく、お食事をして頂いていました。
そして新婦様がやっと落ち着きを取り戻したのは、披露宴開始から1時間30分後のことでした。
お色直しの衣装に着替えてもらい、お二人を入場させてからは、友人のスピーチや余興、そして謝辞、退場と何とか披露宴をお開きまで進行する事ことが出来ました。
しかし披露宴を終え、お二人と私たちスタッフが控室に戻る際、新婦様が新郎様に一言「ケーキ入刀が・・・」と小さな声で話されているのが聞こえてきました。
実はケーキ入刀はゲストの方々の分もカットしてデザート時にお出ししなければなりませんので、これ以上時間を遅らせることが出来ないと判断した私は、ケーキ入刀を進行から外し、カットしてデザートとしてお出ししてしまったのでした。
その言葉を聞いた新郎様は「もう、仕方がないよ・・・・」と新婦様をなだめて下さっています。
私たちスタッフは、ケーキの事が気になってはいたのですが、お二人に最後の挨拶をし、迎えに来てくれたマネージャーの車に荷物を積み込み、事務所に向かっていました。車中で心配してくれてたマネージャーが、「今日は大丈夫だった?」と早速声をかけてくれました。「実は、ケーキ入刀だけ実現してあげられなかったのです。それだけが心残りです。」と私は答えました。マネージャーは少し考え込んでから、「ケーキ何とか用意してあげようよ!二次会はロイヤルウィング(船)だよね。船が戻ってくるまでに何とか用意できるんじゃないかな?」と提案してくれました。もちろん私は「是非お願いします!」とマネージャーにお願いしました。マネージャーはすぐに車を路肩に寄せ、専属のペイストリーシェフに電話でケーキの件を相談してくれました。事情を察したシェフは即座にOKの返事をしてくれ、それからは時間との勝負でした。私とSさん他スタッフは、急きょ思いついた素敵なサプライズに、わくわくしながら、準備を急ぎました。そして、完成したケーキを車に積み込んでから大桟橋までUターンして戻り、お客様が下船してくる場所付近に、ケーキを用意したのでした。
私たちはまず、先に降りてくるゲストの方々をケーキ台の周りに誘導しました。
そして最後に降りてきたお二人に、「ケーキ入刀がまだでしたよね。こちらへどうぞ!」
とご案内しました。目の前に用意されたウェディングケーキ、1時間足らずで用意したケーキは、実際のウェディングケーキに比べたら、決して立派なものではありませんでした。でも、それを見たお二人の目からうっすらと涙が浮かんでいるのが見えました。船から降りてきた新郎様のご友人が、その場の状況を察して下さり、持っていたギターで新郎新婦の大好きなある曲を演奏して下さいました。
新郎新婦、ゲストのみなさん、そして私たちスタッフも、もらい泣きをしながらケーキ入刀後に全員で大合唱。そして、大桟橋にいた通りすがりの人たちも、みんなが二人に祝福の拍手を送って下さっていました。
あの結婚式からは数年の月日がたち、私は現在、アルテリーベに仕事の舞台を移しています。職場は変わっても、当時と変わらずお客様の幸福と笑顔をお届けできますように、日々素敵な結婚式を作る準備を進めています。
アルテリーベの結婚式、次はどんなドラマが待っているでしょう。
店のエントランスの向こう側に、Sさんと彼が手を繋ぎ歩くその後ろ姿に、
白い純白のドレスが重なり見えたミラージュの瞬間。
今度はSさんが幸せの花嫁になる番ですね。